くノ一が語った「千夜一夜」―日本神話がペルシャを救った夜―【榊原大造】

オススメ度★★★☆☆

くノ一が語った「千夜一夜」―日本神話がペルシャを救った夜―【榊原大造】

 

刃の恐怖の下に心を病み

くノ一が語った「千夜一夜」―日本神話がペルシャを救った夜― 作品紹介

くノ一が語った「千夜一夜」―日本神話がペルシャを救った夜―【榊原大造】

くノ一が語った「千夜一夜」―日本神話がペルシャを救った夜―_1

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遣唐使に同行し、ペルシャへ渡ったくノ一・千代

古代の日本から、はるか西のペルシャまで。
一人のくノ一が、朝廷の密命を帯びて旅立った。彼女の名は千代。遣唐使の船に同行し、唐の地を越え、さらに西へ。砂漠とオアシスを渡り、ついにペルシャの都に辿り着く。そこで彼女はペルシアの大臣に謁見し、その卓越した才覚と神秘的な雰囲気に魅了された大臣から養女として迎え入れられ、「シャハラザード」という名を与えられた。
大臣には深刻な悩みがあった。当時の王・シャフリヤールは、妻の不貞を知って以来、心を病み、毎夜若い処女を娶っては翌朝に処刑するという残虐な習慣を続けていたのだ。大臣は養女となった千代に、王のこの悪習を止めるよう密かに依頼する。千代は静かに頷き、王の謁見の間に現れた。そこで彼女が見せたのは、衝撃的な一舞。
それは日本古来のアメノウズメノミコトの踊り――いわゆる「パンチラダンス」である。岩戸の前で天照大神を誘い出した、あの妖艶で大胆な舞。ペルシャの宮廷に、突如として日の本の神々が降臨した瞬間だった。王は一瞬で千代に心を奪われ、彼女を正妻に迎えることを決意する。初夜の床で、王は千代を抱き、中出しの熱に溺れる。
だが、ここからが本当のくノ一の戦いだった。
抱かれた後の枕元で、千代はゆっくりと語り始めた。「面白いお話」を。
その話は、日本神話そのものだった。
イザナギとイザナミの国生み、天岩戸の騒動、スサノオの八岐大蛇退治、黄泉の国、黄泉比良坂……。王は毎夜、息を殺して聞き入る。千代の声は優しく、時に激しく、時に艶やかに、神々の壮大なドラマを紡ぎ出す。刃の恐ろしさの下に心を保ち、忍耐強く物語を続ける――まさに「忍」の極意。千代は、この物語を1001夜にわたって語り続けた。
やがて王の心は癒え、残虐な習慣は止んだ。こうして生まれたのが、後世に伝わる『千夜一夜物語』である。
驚くべきことに、日本神話と『千夜一夜物語』には、類似したモチーフが数多く指摘されてきた。
双子の神々、冥界への旅、怪物退治、賢い女の策略……。それは偶然ではない。千代という一人のくノ一が、ペルシャの王に日本神話を「翻訳」し、夜毎に語り継いだからこそ生まれた、東西文明の秘められた交差点なのだ。
シャハラザードこと千代は、王に「刃の下にある心」を教えた。
恐ろしさと欲望の狭間で、静かに耐え、物語で世界を変える。
それこそが、真の「くノ一」の姿だった。こうして、ペルシャの夜は、日本から来た一人の忍びによって救われた。
千夜一夜の向こうに、かすかに聞こえるのは、天岩戸を叩くウズメの太鼓の音。
歴史の闇に隠された、最高に妖艶で痛快な日ペルシャ忍者譚である。

タイトル くノ一が語った「千夜一夜」―日本神話がペルシャを救った夜―
サークル名 榊原大造
サークル設定価格 550円
ファイル容量 5.12MB
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